9月 21

野球飯24(監修:猪谷栄様)

猛暑がずっと続き、疲労がたまりやすい時期になりました。
今回は夏バテ防止、疲労回復に効果がある「酢」をみてみましょう。
★酢の効果★

野球は9回までの長丁場で2時間以上かかる持久力のいるスポーツです。さらに、走る、打つ、投げるなど瞬発力も必要で全身の筋肉を使うスポーツです。
選手は毎日、朝練から始まりナイター練習もあり疲労が蓄積し回復する暇もないほどです。
そんな激しい野球の疲労回復に酢は大活躍です。
酢を摂取すると早い疲労回復とエネルギーの「再補充化」につながり、食欲増進やストレス緩和荷もつながります。
また、怪我からの回復力と治癒力UPにも酢は効果があります。
★クエン酸効果★
酢は身体造りから作用するといわれています。
身体を動かすエネルギーは摂取した栄養を酸素の力を利用して燃焼させることでつくられます。
ところが激しい運動でエネルギーを大量に消費したり、栄養のバランスが崩れるとエネルギーの不完全燃焼で体内に乳酸が蓄積されていきます。乳酸が許容量を超えると「疲労」や「だるさ」として体に影響が出てきます。
そこで活躍するのが酢です。

酢の主成分である酢酸とクエン酸が体内に蓄積された乳酸を、二酸化炭素と水に素早く分解し、スムーズに燃焼することで乳酸を軽減し疲労を回復します。
さらに酸性に傾いた血液を正常なアルカリ性へと戻してくれます。
この作用を「クエン酸サイクル」と呼び、酢が疲労回復にいいといわれる作用の理由です。 疲労回復のため大量に飲めば早く回復するとはいえません。
酢は一日に大さじ1~2杯(15~30ml)が目安になります。
酢を原液で飲用すると消化器官に炎症を起こすことがあるので、原液での飲用は避けましょう。
一日のどこかで酢の物やマリネ、酢の入った飲み物を摂取するだけでも効果は得られます。
自宅で酢のドリンクを作るときはリンゴ酢が一番飲みやすいでしょう。いろいろと試して、自分の好みの酢を見つけるのも楽しいですよね。
また、酢の効果の方を重視したいならば黒酢がおすすめです。
黒酢は酢のなかでもクエン酸を多く含みます。

スーパーでもいろいろな酢の入ったドリンクが手軽に販売されています。
酢を飲むことに抵抗がある摂取は最近はクエン酸を配合した清涼飲料水も多く発売されているので、試してみてもいいでしょう。
★一緒に摂取すると効果的なもの★


酢は糖質と一緒に摂取すると「エネルギー再充填作用」が高まります。
「エネルギーの再充填作用」とは、人間が活動するためのエネルギー源になるグリコーゲンが必要になります。
グリコーゲンは糖質が体内で変化してできる物質で筋肉や肝臓に蓄積し、急激な運動を行うときのエネルギー源や空腹時の血糖維持に利用されます。
このグリコーゲンが不足すると身体が疲れやすくなり脳の動きも鈍くなります。
そこで酢が活躍します。酢と糖質を一緒に飲むとエネルギーの再充填作用が早まり、身体の素早い疲労回復につながります。
また、酢と糖質を一緒に摂取することで糖質の吸収が穏やかになります。食トレでもお伝えしている、急に糖分を摂取するとインスリンが急激に分泌され、低血糖状態になる「インスリンショック」を軽減し、身体への負荷の軽減にもつながります。
★食欲増進★
夏場は暑くて、練習での疲労もなかなか改善せず食欲がなくなります。
酢を効かせた料理は食欲を促進します。
酢の香りや味わいは鼻腔を刺激し唾液分泌を促す効果があり、委を食事摂取スタンバイ状態に導くことで食欲をUPさせます。
★まさかの快眠UP★
近年の研究では酢にリラックス効果があるといわれています。
酢の酸っぱさの元である酢酸には身体をリラックスさせる「副腎皮質ホルモン」の分泌を高める作用があることがわかっています。
夕ご飯のときに酢の物やポン酢を使った料理を食べると快眠につながります。
また、酢と牛乳を一緒に飲むことでカルシウムの吸収率が高まり骨が強くなる、イライラ防止にもつながります。
夕食で酢を使った料理を出すことで食トレでお伝えしている、ハイパフォーマンス睡眠に繋がります。
★食べやすい、簡単★
酢の物は手軽に野菜と酢を摂取できます。
マリネでは魚を入れると一緒にたんぱく質摂取も可能になりますよね。

ポン酢はこの時期にさっぱりと冷しゃぶで使うと豚肉に多く含まれるビタミンBにも疲労回復効果があり、たんぱく質も一緒に摂取できます。
猪谷家では、餃子はポン酢とラー油で食べます。
ポン酢はいろいろなものにかけたり、炒め物や焼き魚にも合うのでぜひ積極的に取り入れてみてください。
酢の効果でこの夏場を元気に乗り切り、選手には全力でのプレーを期待します。

猪谷 栄
アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校3年生と中学3年生の野球息子のママです。
まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。
栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。