12月 06

野球飯22(監修:猪谷栄様)


~野球肘って??~

高岡・富山ヤングでは毎年、野球肘検診を行っています。
ここ数年はコロナ感染の影響もあり、開催は延期されていましたが、今年は3年ぶりに開催されます。
今回は「野球肘」についておさらいをしましょう。
★「野球肘」とは・・・★
「野球肘」とは、投球スポーツによっておこる「肘の障害」です。
肘の「外側」「内側」「後側」におこります。
子どもの骨は未熟で発育途上のため、弱く傷つきやすく、障害が起こります。
好発年齢は身長が伸びる、10~12歳に発生しやすく、注意が必要です。
ヤング所属の中学生も、身長が伸びている発達途中の選手は注意が必要です。
また、身長が伸び止まっても、スピードボールや変化球を投げる場合は、肘に負担がかかるので注意が必要です。

★一番多い、「内側」の障害
肘の「内側上顆」という部分の障害です。
内側の靭帯が骨についているところが、繰り返し投球で引っ張られ、骨や軟骨に傷がつきます。
野球肘の中でもっとも発生頻度が高く、10人に1~3人程度におこります。
高校生以上では、内側の靭帯を損傷することが多く、重症な場合は手術が必要になることもあります。

★軟骨がはがれる「外側」の障害
肘の外側の「小頭」という部分の障害です。
離断性骨軟骨炎とも呼ばれます。
発生頻度は、100人に1~3人程度です。
早期には痛みなどの症状がなく、痛みが出て軟骨が剥がれるまでに1~2年以上かかることから、本人も気づかずに投げ続けることになります。
初期に発見し、治療すれば完全に治癒します。

★肘の「後方」が障害される野球肘★
肘の「肘頭」という部分の障害です。
小中学生には好発せず、高校生以上で生じることが多いです。
投球動作ではボールリリースからフォロースルーの時の後側・内側に痛みが出ます。
肘を伸ばす時にも痛みがあり、肘が伸ばしにくくなります。

★早期発見と予防には・・・・・★
このように、野球肘には3つのパターンがあります。
どれも、一度痛みが出ると野球をお休みしたり、手術が必要になります。
そのため、①定期的なメンテナンス:整形外科でのエコーやMRIでの検査
     ②毎日のストレッチ
が早期発見と予防につながります。

★早期発見の定期的な診察と検査★
半年に1回、シーズン終了時とシーズン中の受診がお勧めです。
我が家では、シーズンOFFの冬休み中と、シーズン中の夏休みの年2回の定期受診を心がけています。
★毎日のケアも必須★
毎日のケアも大切です。
野球では肘以外にも、股関節や肩など体の柔軟性が怪我や障害を防ぐ基本です。
毎日のストレッチは、長く楽しく野球を続けるために必要不可欠です。
★ストレッチ動画の紹介★
「公立南砺中央病院」のホームページに「スポーツを行う選手のためのストレッチ動画」を載せています。
*公立南砺中央病院→患者様へのご案内→ストレッチ動画*

お風呂上りや、毎日の寝る前にぜひ動画を見て実践してみてください。
★「関節疲労回復デザート」コラーゲンとビタミンCとカルシウムの摂取★

食事の面では、コラーゲンをビタミンCと一緒に摂取することで、腱や関節を作るコラーゲンの合成を促進し、関節の怪我の回復を早めます。
コラーゲンと言えば、鳥皮や鳥手羽先、牛筋肉などちょっと苦手な選手も多いと思います。
意外にも「ゼラチン」はコラーゲンでできています。
ゼラチンは動物の皮膚や骨、腱などの結合成分に熱を加えて抽出しコラーゲンを多く含んでいます。
選手にはゼリーやマシュマロ(←マシュマロもゼラチンで作られます)のほうが食べやすいと思います。
そこにフルーツでビタミンCを、ヨーグルトでカルシウムを補えば、「関節疲労回復デザート」になります★

猪谷 栄
アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校3年生と中学3年生の野球息子のママです。
まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。
栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。