5月 09

野球飯16(監修:猪谷栄様)


~サプリメントって……~

年明けから春のシーズン前にかけて、入団体験で付き添いの保護者の方や他の野球チームの選手や保護者さんに食事トレーニングを行いました。
とても興味を持ってください、質問もたくさんいただいた中で、やはりプロテインやサプリメントについての質問が多く聞かれました。
質問内容としては「筋肉をつけたくてプロテインを導入したいのですが・・」「野菜が嫌いで、ビタミンのサプリメントを飲ませているのですがこれでいいのでしょうか?」「身長を伸ばしたいのですが、ネットにあるラムネやグミは有効ですか」など、最近の野球少年のお父さんお母さんの体に対する意識の高さを感じました。
ここ最近は、サプリメントやたんぱく質の必要性を伝える広告やニュースをよく耳にするようになりました。また、プロテインやサプリメントも栄養素の補給から、身長を伸ばすものなどいろいろな種類がでてきています。
野球飯でも、プロテインに関しては食事の補助的な目的での摂取は「あり」とお伝えしています。
では、サプリメントはどうなんでしょう?
今回は、サプリメントは本当にジュニアや中学生に必要なのか、サプリメント導入は必要なのかを考えてみようと思います。

★プロテインに関しては…★
プロテインに関しては野球飯でもVOL:10で取り上げて解説をおこないました。
ジュニアではプロテインの飲用よりも
3食しっかりとバランスよくきちんと食べること
自分の体重を知り、糖質とたんぱく質を十分に食べる
糖質=体重×10ℊ
たんぱく質=体重×2.0ℊ
③しっかりと体を動かし、運動後の20分以内に糖質+たんぱく質+ビタミンCを摂取する
ことが、一番の食事トレーニングであることを毎回、繰り返しお伝えしています。
そろそろ、みなさんの食事時の内容や、捕食の習慣になってきてもらえているのではないでしょうか?(←と期待したい、私の願望です:笑)
そのうえで、どうしても不足している時は規定量=MAX量と考えて、自分で調整して飲用することがベストです。
ジュニアの今だからこそ、サプリやプロテインではなく食事から栄養を摂取することの大切さを学び感じてほしいと思います。

★最近話題の身長を伸ばすサプリメント★
選手の身長に関しても最近は質問が多く、選手自身も含めて気になる項目のようです。
身長を伸ばすには亜鉛がいい、カルシウムを強化したラムネやグミなど選手が摂取しやすい形態でのサプリメントも多く出ています。
身長を伸ばす系のサプリメントの成分は、大きくはカルシウム補給を中心に不足しがちな栄養素を入れたものが多いです。そこに亜鉛やミネラル成分を補給したものも見られます。
これもプロテインと同様に、普段からの食事をきちんと摂取していれば、不足することのない成分がおおいです。
カルシウムは牛乳や乳製品(ヨーグルトやチーズ、魚類)をきちんと摂取すれば不足することはなく、食品からの摂取が比較的簡単な成分です。
亜鉛などミネラル成分も普通の食生活を送れば不足する成分ではありません。いろいろと論文を検索しても、結局は身長を伸ばす要素の一つにはなりえますが、それだけを特化して摂取しても結果は出ないというものが多かったです。

★身長を伸ばすには...★
最近の野球飯や食事トレーニングでもお伝えしていますが、身長を伸ばすには成長ホルモンが必要です。サプリメントでは成長ホルモンは補えません。
基本のしっかりとバランスの良い食事を摂取し、体を動かすことで骨を刺激し、睡眠時間を確保し成長ホルモンを出すことが最短の方法だと思います。

★まずは食品の分類から..★
上記をふまえてのサプリメントについてのおはなしです。まずは、食品の分類から見てみましょう。

特定保健用食品
健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品です。表示されている効果や安全性については国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可しています。許可された食品には、トクホのマークを表示することができます。
栄養機能食品
日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品です。すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届出などをしなくても、国が定めた表現によって機能性を表示することができます。
栄養機能食品は、ビタミン(13種類)やミネラル(6種類)などの国が定めた栄養成分を基準量含んでいる食品が対象となります。加工食品だけでなく生鮮食品でも機能性を表示できます。
機能性食品
事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものです。ただし、トクホとは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。
このように国からの審査をパスしたものから、すでにパスしたものを改良したもの、企業が独自に研究開発したものから幅広くあります。
まずは、本当に体に安全な製品なのかを見極めることが大切になります。

★そのうえでのサプリメントとは?★
サプリメントと言っても、今は本当にたくさんの種類がドラックストアにもネットにもあります。
「日本では、サプリメントは法律的や行政的な定義が存在せず、厚生労働省では便宜上「特定成分が凝縮された錠剤やカプセル形態の製品」と定義して食品に分類される健康食品とは分けているが、広い意味ではサプリメントも健康食品の一つとしている」と言われるものです。
そして、サプリメントはおおまかに3種類に分類されます。

ベースサプリメント
ベースサプリメントは、体に必要なビタミンやミネラル、アミノ酸、食物繊維、DHAやEPAなどを補います。ビタミンはビタミンB1やビタミンB2、ミネラルは鉄や亜鉛など単体で販売されるものや、ビタミンを全て含んでいるマルチビタミンという形で販売されることもあります。
*ヘルスサプリメント*
ヘルスサプリメントは、健康維持や美容などのために利用するイソフラボン、ローヤルゼリー、プロポリス、セサミン、カテキンなどがあります。
*オプショナルサプリメント*
オプショナルサプリメントは、ウコン、マカ、ブルーベリー、グルコサミンなどは体調の回復のために利用されます

サプリメントの利用の前に、まずは毎日の食事から野菜、果物、乳製品、魚などを食品から取り入れるようにします。そのためには栄養バランスの良い食事を心がけ、食事内容や食生活自体を見直します。
サプリメントを購入する際には成分名、含有量、問い合わせ先を確認します。特に健康面の安全性や有効性を判断するためには含有量が必要です。サプリメントは食品に分類されていますが、ビタミンやミネラルなど1度に多種類のサプリメントを摂取すると健康被害の可能性が高くなり、被害の原因究明も難しくなります。何種類か摂取している場合は、同じ成分が重複していることもあり、過剰摂取による体調不良も引き起こします。

★本当に必要か??★
このように、本来は食品から摂取することが一番です。
ビタミンなどは野菜や果物からある程度摂取が可能です。好き嫌いがあるときは同じような成分を含んでいる食品と代替えができないかなど食トレでもお伝えしているように、サプリメントではなくまずは「食べることは好きになってもらう」ことが一番大切だと思います。
そのうえでサプリメントを取り入れるときの⑤つの指標を紹介します。

【POINT:1】
その情報は誰が出しているのか、情報の発信源を考えてみましょう
【POINT:2】
本当に栄養不足なのでしょうか?食生活の見直しで改善できるところがあるのではないでしょうか?
【POINT:3】
通常の食品とサプリメント、どちらが安全 ?
通常の食品にはサプリメントにはない味、香りや容積があります
【POINT:4】
サプリメントは気軽に与えることで偏食を克服することができますか
【POINT:5】
サプリメントの形状は医薬品と似ていますが、その品質管理は医薬品のように徹底されていません
これらのことを踏まえて、よく吟味しましょう。

猪谷 栄
アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校2年生と中学2年生の野球息子のママです。 まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。 栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。