9月 29

野球飯13(監修:猪谷栄様)


~からだに大切な脂肪/オイル


だいぶん涼しくなり、朝晩は肌寒く感じるようになってきましたね。
日中と朝晩の気温の差があり、体調を崩しやすい季節です。
選手の皆さんは夏の疲労がすっきりしなかったり、肌寒くなり怪我にも注意が必要です。しっかりと睡眠をとり、食事からは栄養をきちんと摂取したいですよね。
最近、メディアでは「低糖質」や「低脂質」、「油はとらないほうがいい」という言葉をよく聞くようになりましたよね。
食品でも、コンビニでは糖質カットの商品がたくさんあり、パッケージに糖質量が「〇g」記載されているものも多く見られるようになりました。
そして、糖質からのエネルギー補給に代わり、「高タンパク質」でエネルギーをタンパク質からとる話をよく聞くようになりました。
選手の皆さんは、練習でたくさんのエネルギーを体が必要とします。なので、メディアとは逆行して「高糖質・高タンパク質・良質の脂質」が必要になります。
糖質は炭水化物からの摂取になるので簡単に摂取できます。タンパク質は意識しないと摂取量を確保できないので、野球飯でもかなり力を入れて毎回の情報提供やレシピの中にいれています。
「良質な脂質」とは、どんな脂質のことでしょう?そもそも、「脂質」と「油」は違うのでしょうか?
今回は油「オイル」をテーマに調べてみます。
★脂質の役割★
体内では中性脂肪として、貯蔵脂肪皮下や腹腔など俗に言う内臓脂肪、筋肉間結合組織などに貯蓄されます。
脂肪は1g=9kcalのエネルギーを発生します。糖質・タンパク質=4kcalなので脂質は2倍以上のエネルギーになります。
そして、脂肪は脂溶性ビタミンのの供給源となったり、腸管からの栄養素の吸収を助ける働きをもち、体にとっては不可欠な栄養素です。
脂肪は体内の組織や臓器を覆っています。脂肪が不足すると、臓器が滑らかにスムーズに動かなくなります。その結果、内出血筋膜炎肉離れといった症状をおこしやすくなります。また、皮膚の乾燥も進みそこから感染症にかかるリスクも大きくなります。
なので、選手の皆さんに「怪我の防止」という視点からも、脂質も体には必要な栄養素になります。
★脂質と油そもそも同じ?★
脂質とは5大栄養素の一つで油分の大きな振り分けになります。
その中には牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品、バターやマヨネーズなど油、ナッツ類にも多く含まれます。
その中でも、最近注目されているのが「オイル」と呼ばれるよになった「油」です。油は脂質の中の一つのカテゴリーになります。
「油」といってもここ数年はいろいろな種類のものが販売されています。オリーブオイルや亜麻仁油はここ数年、健康にいいと言われよく耳にするようになりました。
家庭では、「サラダオイル」や「オリーブオイル」が一般的に使われていると思います。
★脂肪とその中のカテゴリーの油の種類★

脂肪は大きく2種類に分けられます。
飽和脂肪酸は動物性の脂肪に多く含まれ、常温では固体です。一方、不飽和脂肪酸は常温では液体で植物性の脂肪に含まれます。
そして不飽和脂肪酸はさらに、体名で作ることができない必須脂肪酸も含まれます。これは主に魚油に多く含まれます。
さらに各脂肪酸の働きを細かく見てみると、下記の図のように分類されます。

肉や卵などから摂取することができる飽和脂肪酸は、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸に分けることがでいます。
この二つの脂肪酸の特徴は選手の皆さんには不可欠なものになります。
★飽和脂肪酸の中の中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸を上手に組み合わせて…★

中鎖脂肪酸は肉類や卵、乳製品など動物性の食品に多く含まれます。この中鎖脂肪酸は、体内に入るとすぐに吸収され、脂肪をため込まずにすぐにエネルギーに変換されます。中鎖脂肪酸は通常の脂肪酸の4倍のスピードでエネルギーに変換されます。
反対に、バターやラード、植物性油に多く含まれる長鎖脂肪酸は体内に運ばれ、吸収・貯蓄されます。そして、糖質が不足したときに分解されエネルギーに変換されます。
なので、選手の皆さんはこの二つをうまく組み合わせて摂取する必要があります。
長鎖脂肪酸は普段の生活で、炒め物や揚げ物などの油に使われているのであまり意識して摂取する必要はありません。
逆に、中鎖脂肪酸は毎日の練習で使用する糖分からのエネルギーに加えると、より効率よくエネルギーを作り出すことができ、エネルギー不足を防ぐことでパフォーマンスの向上にもつながります。また、疲労回復にも効果があるといわれています。
これを効率的に補うことができるのが、最近話題の「MTCオイル」です

ココナッツの油から抽出されたもので、ほかの脂肪酸の4倍のスピードでエネルギーに変換されます。そして、糖質よりもやや遅れてエネルギーになるので持久力や持続性がUPします。
飲み物やサラダに各食事小さじ1杯/4gが一日摂取量です。
実は今、介護や医療の現場でも、なかなか経口摂取が進まずカロリー不足の患者さんや、筋力低下が著しくリハビリが思うように進まない患者さんに必要なオイルとして、当院でも積極的に取り入れています。味はほとんどなく、サラッとしているのでお粥に混ぜて患者さんに提供しています。
なので自宅では、味噌汁に入れたり、サラダのドレッシングに追加したり、私はヨーグルトにプロテインと一緒に+αで追加し摂取しています。
★不飽和脂肪酸ではオメガ3系脂肪酸を積極的に★
不飽和脂肪酸では体内では作ることが出いない必須脂肪酸の中でもオメガ3系脂肪酸を積極的に取り入れることが推奨されています。

オメガ3系脂肪酸は、「αリノレイン酸」「DHA」「EPA」の3つから構成されています。
これらは血栓ができることを防いだり血圧を下げる働きがあります。また、脳への血流が促進されます。
「DHA」は青魚に多く含まれ、「頭脳力UP」と言われていますよね。サバ缶など骨ごと食べられるものを選択することでカルシウムも一緒に摂取できます。
★日々に使用する油も少しの工夫で★
家庭では日常的に、炒め物や揚げ物を作るときにはサラダ油が一般的だと思います。
サラダ油は菜種などの2種類の油を調整して作られ、サラダに合う油ということから「サラダ油」と呼ばれるようになりました。分類的には、「オメガ6系脂肪酸」に分類され、必須脂肪酸で体の中では作られない成分です。

日々の調理で利用するので、意識して摂取する必要はなく、逆に過剰摂取に気をつける必要があります。
そこで、より体に良い方法としてサラダ油を「こめ油」やオリーブオイルに変換することでより体に良い摂取ができます。
こめ油には、自律神経を整える作用があるので、メンタルの安定や不眠改善などにも効果があります。、
また、ビタミンEを多く含んでいるので酸化防止・疲労回復効果があります。
オリーブオイルも体にいいと言われるオイルの一つです。ADKE
ビタミンA・D・K・Eを多く含むため、疲労回復効果があります。また、悪玉コレステロールを下げる働きもあります。
話題の亜麻仁油もこの部類に入ります。
いつも使う油だからこそ、少し変えることで積み重なり、大きな効果が出ます。そして、いつものしっかりと炭水化物を摂取し、意識してのタンパク質摂取を加え、生活習慣を整えることで、選手のパフォーマンスにつながります。
結論は、やっぱり、日々、バランスよく食事を摂取し生活習慣を整えることに+αの小細工だと今回も実感しました。

猪谷 栄
アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校2年生と中学2年生の野球息子のママです。 まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。 栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。