2月 23

野球飯6(監修:猪谷栄様)

 ~腰椎分離症~


富山は雪が積もり、冬季間は外での練習ができないために室内の練習が多くなります。
そして、オフシーズンだからこそ来シーズンに向けて体を作ろうと筋力トレーニングを取り入れるチームがほとんどだと思います。
成長期である中学生の骨や関節はまだまだ不完全です。
筋力トレーニングやオーバーワークが重なると、骨や関節、筋肉の損傷につながります。また、それが積み重なると疲労骨折や偽関節など今後の野球生活にも支障をきたすことになります。
みなさんの親世代は、現代っ子と違い毎日外で遊び体を動かしていることが多かったと思います。
しかし、今の中学生世代は親世代と違い、外で体を動かす機会が小さいときから少ない世代です。
中学に入って、急に部活動でハードな運動や筋力トレーニングを行うと、未発達の骨や関節、筋肉がオーバーワークに耐えられずに疲労骨折や炎症をおこし痛みを引き起こすことになります。
腰痛を2週間以上の感じたときはアスリートの50%に腰椎分離症が含まれる」と言われます。
当院の整形外科にも、中学や高校生の背骨の疲労骨折がここ数年増えつつあります。
今回は、「腰椎分離症」についてお話をします。
~腰椎分離症って??~
腰椎分離症とはいわゆる、背骨の骨折のことです。
部活動などのスポーツを長時間行うことで、背骨に負荷がかかり骨折することです。
具体的には、腰部の神経の後ろにある背骨にヒビが入ります
「疲労骨折」の場合は骨に少しヒビが入っている状態でまだ、完全には離れていません
ずっとヒビが入っている状態が続き、ある日そのヒビから骨が割れてしまうことを「腰椎分離症」とよびます。
子供の場合は、腰痛だけでしびれなどの神経症状は起きしにくいです。
部活動をやっている子供が、2週間以上続く腰痛を訴えたときには、注意が必要です。さらに、足の痛みやしびれなどを伴うときは早急に受診が必要になります。
~どんな検査をするの?~
まずは、整形外科を受診し、レントゲンを撮ることがほとんどです。さらに医師の判断でMRIなどで詳しく調べることもあります。
MRI検査では、分離しているかどうかに加えて内出血や骨の浮腫もとらえることができるので、早期発見・治療を行うことができます。
~治療方法って??~
腰椎分離症の病期ステージは3種類あります。
初期:最初のヒビ割れが始まる時期
進行期:完全に分かれてしまう時期
末期:二度とくっつかずに完全に分離してしまう時期

治療には、初期・進行期はひび割れや割れの進行に合わせて、コルセットを付けることになります。もちろん、運動は病状に合わせて制限されます。
その期間も、ひび割れの程度により、3か月~6か月以上とかなりの時間が必要になります。
そのあとは、まずはストレッチから始め、背骨の周りの筋肉を鍛え背骨をサポートできるように腹背筋訓練から開始します。
何にしろ、腰椎分離症になると、1シーズンはなにもできないことになる覚悟が必要になり、つらい思いをすることになります。
~どうすれば、防げるの???~
まずは、体の柔軟性をつけ、体幹筋力を鍛え、背骨にかかる負荷に耐えられる体を作ることが大切になります。
野球飯でも、頻回にお伝えするストレッチの大切さは怪我予防にも本当に大切になります。
そして、背骨をサポートする腹背筋など体幹筋力の鍛えることが予防にもつながります。
腰痛が2週間以上続く場合や神経症状がある場合は、早めにMRIのある整形外科の受診をおすすめします。
~食事面も大切です!~
毎日の練習に耐えられる体作りには、食事の面でも大切になります。
ここ何回かの野球飯でもお伝えしているたんぱく質の摂取は筋肉の増強と筋疲労の修復には不可欠です。また、前回お伝えしたBCAAを運動直後に取ることで筋肉の修復と筋肉量の減少を防ぐことができます。
今回は、これに加えて、骨を作るカルシウムの摂取についてお話いします。

「骨」といえば「カルシウム」と思いますよね。
でもカルシウムだけを摂取しても骨は作られません。骨を作るには「ゴールデントライアングル」があります。このトライアングルを完成させるには「カルシウム」に加えて「腸でカルシウムの吸収を促進するビタミンD」「骨を強化するビタミンK2」が必要になります。
カルシウム・ビタミンD・ビタミンK2を多く含む食品です。たんぱく質と被る食品も多くありますよね。

この中から組み合わせたクイック料理を一つ提案しますね。
カルシウムからわかめやシラス、ビタミンDからは鮭、ビタミンK2は納豆をチョイスし組み合わせて、納豆&鮭チャーハンとわかめスープです。

納豆は別に食べて、鮭チャーハンやシラスチャーハンにしてもバリエーションが広がります。
この組み合わせてお好み焼きに、サクラエビ・シラス・納豆を入れ、チーズをトッピングに使ってもイケますね。
色々な組み合わせを子供と考えて試してみると、栄養面での知識も広がり楽しくごはんが進むと思います。
チャーハンやお好み焼きは調理過程も簡単で、一緒に楽しく作るとより食欲の増進にもつながります。
食事をしっかりと食べて、ストレッチと体幹筋力を鍛えて、長く楽しく野球ができる体を作りましょう。

猪谷 栄 アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校1年生と中学1年生の野球息子のママです。 まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。 栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。