10月 20

野球飯21(監修:猪谷栄様)


9月になっても暑い日が続きましたね。朝晩は肌寒い日もあり、気温差から体調を崩しやすくなるので、注意が必要になります。
選手にとっては、練習しやすい気持ちの良いシーズンです。今は残りの試合で成績を残すためにしっかりと頑張ってほしいです。
良いプレーをするには、栄養補給のキーとなるお弁当は大切です。保護者の方からもお弁当についての質問はかなり聞かれます。今回はお弁当について、考えてみましょう。
★お弁当の量★
毎回の野球飯でもお伝えしているように、中学生の野球選手は毎日3000㎉の摂取が必要になります。
3食で800㎉と午前と午後の補食2回で600㎉の計算がベースになります。
そう考えると、お弁当=800㎉、試合前後に600㎉の計算になります。

お弁当で800㎉を摂ろうとするとお弁当箱の容量は850㎖以上のものが必要になります。
ごはんのお茶碗1杯=150g=250kcalになります。850㎖前後のお弁当箱ならばだいたい1合ほどの容量なので600~650kcalのエネルギー摂取ができます。
食が進まない、もっとカロリーUPをとなると、選手が好きなチャーハンやオムライスなど具材を混ぜ込み、味を濃くすることで食欲は進みます。
また、そぼろや丼ぶり風のON THEライスをすることでごはんも進み、副菜分の栄養も摂取することができます。
★お弁当プラスの捕食★
このお弁当に追加で補食として300kcal×2回の補食を摂取します。補食は空腹になる前に摂取し、空腹の時間をなくすよに心がけることが大切です。空腹と感じた時点ではすでに、体内では糖分不足=エネルギー不足状態で、筋肉を分解しエネルギーを得ている状態になっています。せっかくの筋肉が分解されてしまってはどうしようもないですよね。

補食の内容はもうみなさんのなかに定着したとおもいます(笑)が、毎回の糖質+タンパク質+ビタミンです。
おにぎりの場合は、お米=糖質、具材の鮭=タンパク質、オレンジジュース=ビタミンになります。サンドイッチならば、パン=糖質、具材のハムやチーズ=タンパク質、レタスやキュウリ=ビタミンでしたね。
これで補食1回=300kcalなのでコンビニおにぎりならば2個、コンビニサンドイッチなら1パック摂取で達成になります。
★お弁当の比率★
お弁当の比率は、主食:主菜:副菜=2:1:1の割合になります。

比率は、普段の食事と同じように考えます。
主菜にはタンパク質のメインの食材を、副菜にはビタミンなど野菜を中心のメニューを入れていきます。
一日練習の日は消費カロリーが多くなるので、主菜にタンパク質のメインのおかず、副菜には野菜と糖質をいれたおかずにチェンジした「ダブル炭水化物」をお勧めします。これでおかずからも糖質でのエネルギー源を稼ぐと糖質切れにならずに済みます。
内容的には、焼きそばやお好み焼き、スパゲティーになります。麺や小麦粉の糖質に加え野菜を使うおかずを追加します。
どうしても野菜が苦手で、、、暑くて肉が進まない、、、疲労や暑さでお弁当が進まないことはよくありますよね。
そんな時は、第一に糖質切れにならないことを考え、選手が好む先にあげたON THEライスなどで摂取を進めます。ビタミンやタンパク質は朝と夕の食事で不足分をカバーすればOKなので、お弁当はあまり気を張らず、選手が摂取できそうな糖質は必須、タンパク質が2番、できれば野菜ぐらいに考えると作る方も楽になりますよね。
基本はおいしく、楽しく摂取することを忘れないで、糖質切れにならなければ、私はOKなぐらいで考えています。
★食べるのは選手、選手と相談も必要★
どんなに頑張って作っても、食べるのは選手です。お弁当の摂取状況から、いろいろなことがわかります。
残してきたものがあれば、選手に聞いてみることは大切です。純粋に食べる時間がなかった、量が多い、嫌いなもの、暑くて食べられない、プレーに失敗し食欲減退……残すにはいろいろな理由があります。
猪谷家の長男、チャーハンが中学からの定番野球弁当の内容でした。冬場のある時から残してくるようになり聞くと「飽きた」と「油が辛いことがある」と。寒くなると冷たいチャーハンになり油が固まったような油感を強く感じますよね。「敏感」と思いながらも納得でした。
ミートボールは「ミートする」にかけて入れるようにしてきました。ある時、残してきて理由を聞くと「前回ミートボールが無かったら打てた。だから今日は食べんかった」など珍回答もあります。
子供は子供なりにいろいろ考えたり感じたりしているんだなぁとお弁当からもわかる一面でした。
お弁当から意外な話を聞けることもあるので、みなさんも選手から聞いてみてください。

猪谷 栄
アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校3年生と中学3年生の野球息子のママです。
まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。
栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。