6月 07

野球飯17(監修:猪谷栄様)


~成長ホルモン~

 

選手の皆さんは疲労が溜まったり、食欲が落ちてくる時期です。しっかりと睡眠をとり、食事からは栄養をきちんと摂取したいですよね。
今回は体の成長を促したり、疲労を回復したりといいことがたくさんある「成長ホルモン」を紹介します
野球飯や食事トレーニングの講義でも、成長ホルモンは大切で睡眠中に分泌されるため22時、遅くとも23時には眠れる環境を作ることが大切だと毎回お話しています。
最近では、「身長を伸ばして体を大きくしたい!」「身長を伸ばすにはどうしたらいいですか?」という身長や体を大きくしたいという質問が多くママさんたちからもお聞きしています。そんな中で、背を伸ばす効果もあると、成長ホルモンはさらに注目を浴びています。
今回は、いいことがいっぱいの成長ホルモンについてお伝えします。
★まず、成長ホルモンってなに???★

成長ホルモンは下垂体から分泌されるホルモンのひとつです。
「成長」という名前がついていますが、子供だけの成長に働くものではありません。
人間の一生にわたって、代謝調整に働きかけ、現在は免疫機能認知機能にも作用を持つことがわかってきています。

★成長ホルモンはいつ出るの??ゴールデンタイム!!★
成長ホルモンの分泌は、睡眠と深くかかわっています

成長ホルモンは、睡眠中の22時~4時までの間に分泌されます。
ということは、睡眠時間をしっかりと確保しないと、成長ホルモンは分泌されません。
野球飯2でも紹介したように、睡眠前には副交感神経が優位になる環境を作り、トリプトファンを分泌させることで、心地よい深い睡眠導入が図れます。
★成長ホルモンの分泌を促進する5か条★

成長ホルモンをより分泌させるためには、5個の条件があります。
*条件1: 深い睡眠*
成長ホルモンの分泌に重要なキーワードは「深い睡眠」です。
人間の眠りの深さは4段階のステージに分類されています。
成長ホルモンのを分泌させるには、「最も深い眠り」の段階が必要です。
「もっとも深い睡眠」とは、体内時計と同調して働く、睡眠ホルモンの「メラトニン」が分泌されていることが必須条件です。
深い眠りにつけば成長ホルモンが出るわけではなく、昼でも夜でも深い眠りさえ得られれば成長ホルモンが出るわけではありません。
夜、メラトニンの分泌量が増加したときに眠ることで、深い眠りを得ることができ、結果として成長ホルモンの分泌量も最大化されます。
このことから成長ホルモンを効果的に分泌させるには、野球飯2でもお伝えしているハイパフォーマンス睡眠が必要で、副交感神経を優位にさせるために、夜はぬるめのお湯にゆっくりと浸かり、携帯などのブルーライトも避けると、心地よく深い睡眠が得られます。
また、睡眠を促す「トリプトファン」を多く含む食事も提案しました。
トリプトファンは、朝食に摂取することで効果的に夜間の睡眠に作用を示します。朝食にトリプトファンの多く含まれる、チーズやヨーグルトの乳製品を積極的に取りましょう。
乳製品にはカルシウムも入っているので身長UPの効果も期待できそうで、一石二鳥ではないでしょうか。
*条件2: アミノ酸の摂取 *
成長ホルモンを分泌させるには食事も大切な要素になります。
栄養素でいうと「アミノ酸」を摂取することがポイントになります。
アミノ酸は、成長ホルモンをはじめ、体から分泌されるホルモンの材料になる物質のひとつです。

いつもお伝えしているようにアミノ酸はタンパク質の構成成分です=タンパク質をしっかりと摂取すれば、アミノ酸もしっかりと摂取でき、成長ホルモンをしっかりと作り分泌することができます。
食事から摂取した、タンパク質は、アミノ酸に体内で分解され吸収されます。そのなかの「アルギン」が特に成長ホルモンの分泌を促す働きがあるといわれています。
*条件3:血糖値の低下*
ちょっとイレギュラーな増やしかたですが・・・・
人間の体は、長時間の絶食や運動後に血糖が下がります。正常範囲より血糖値が低下しすぎると低血糖状態になります。
この低血糖時に、成長ホルモンやコルチゾール、アドレナリンのホルモンが分泌されます。
このように生命維持にも成長ホルモンは大切な働きを担っています。
*条件4:空腹*
人間の脳は空腹になると、胃からグレリンというペプチドホルモンが分泌されます。
グレリンの分泌は、脳の下垂体を刺激し成長ホルモンを分泌させます。
このことから、成長ホルモンを効果的に分泌させるには、毎回、食事の前に適度な空腹が感じられるように、一定の食事間隔を保つことも必要です。
練習の時は、エネルギー不足になるので空腹は大敵で厳禁ですが、普段の生活では規則正しく食事を摂取すれば、自然と適度な空腹の時間ができると思います。
*条件:5 運動など体へのストレス*
運動や筋肉を使用し、体が疲弊するとそのストレス反応でコルチゾールをはじめとする様々なホルモンが分泌されます。
成長ホルモンもその一つで筋肉や体の組織を再生・修復するために,疲労時は成長ホルモンが分泌されます。
★結論は、しっかり食べて運動し、しっかりと寝ること★
成長ホルモンについていろいろとみてみました。
結論は、
➀いつものハイパフォーマンス睡眠を実行するために、寝る前に副交感優位の環境を作る
②朝食はしっかりと摂取し、乳製品を意識的に摂取する
③たんぱく質をしっかりと摂取し、練習をしっかりとする
といういつも通りの生活を送れば成長ホルモンは自然としっかりと分泌され、体を作ってくれ、集中力や免疫力も上がるということになります。

猪谷 栄
アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校3年生と中学3年生の野球息子のママです。
まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。
栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。