4月 13

野球飯8(監修:猪谷栄様)


新入部員を迎え、OP戦も組まれ、今シーズンも始まりましたね。
先日、OP戦でスコアラーに入り、精一杯プレイする姿や真剣なまなざし、元気な仲間への声かけをまじかに見ることができ、シーズンが始まったことを実感しました。
最近は「野球飯見てます」「毎回、楽しみにしています」などうれしい言葉に加え、栄養に関する質問も増え、栄養に関心を持ってくださるママが増えてきたことも本当にうれしく思っています。
そんな質問の中から、「とり肉がタンパク質を含んでいいと聞きますが、どの部位を食べても同じなのですか?」「むね肉がいいと聞きますが、むね肉ともも肉は何が違うのですか?」「むね肉は食べにくく、もも肉を食べているがダメのか?」など、とり肉関連の質問がありました。
今回は、「とり肉」について考えてみましょう。

★とり肉のまえに、鳥を知る★

とり肉といえば、ニワトリを思いますよね
その前に、渡り鳥のお話をします。ここ数年、スポーツ界でも渡り鳥の持久力が注目され、研究されています。
渡り鳥は、何千キロという距離を飛び続け、遠くロシアやアラスカから日本にもやってきます。キジの仲間のオオソリハシシギは、驚くことに、アラスカからニュージーランドまでの11000㎞を全く休むことなく9日間も飛び続けるそうです。
なぜこれほどの距離を休まずに飛び続けることができるでしょうか?
近年、この「渡り鳥」の研究が進み、その秘密にはとり肉が関係していることが解明されました。
★活性酸素を除する「イミダゾールペプチド」★
渡り鳥は、酸素を使いながら飛び続けます。この時に、体内に発生する「活性酸素」が細胞を傷つけ、これが疲労の原因になります。しかし、この活性酸素を除去する「イミダゾールペプチド」が鳥の体内の特に「むね肉」に多く含まれていることが解りました。
疲労の原因といわれる活性酸素は、細胞を錆びさせ、疲労だけでなく老化や病気の原因になるとも言われています。ママ達にとっても、聞きたくないワードですよね(笑)
またイミダゾールペプチドは記憶力の改善もに関連しているとわかっています。認知症の予防にも効果があるのではないかと研究が進んでいます。選手にとっては勉強も大切な仕事。記憶力の改善にも効果があれば一石二鳥ですよね。
研究によると、人が疲労回復のために必要なイミダゾールペプチドは200㎎/日、鳥のむね肉100g には約1200㎎のイミダゾールペプチドが含まれています。1日、100ℊも食べれば疲労回復効果を得られることになります。
スーパーでとりのむね肉は100㎎/60円前後、安いときは40円前後でかなり家計にも優しい食材だと思います。積極的に取り入れて選手の疲労回復とママのアンチエイジングを実践しましょう。
★では、部位別に栄養は何が違うの★

まずは、とり肉の部位を知りましょう。むね肉もも肉はみなさん、よく知っていると思います。焼き鳥好きな人はせせりや肝、手羽先、ぼんじりなどもよく聞きますよね。
では、パーツ別に栄養素を見てみましょう。
★とり肉はささみ??★
とり肉100ℊあたりのタンパク質ランキングです。

100ℊあたりでのタンパク質量の差は、むね肉:23ℊ>もも肉:19ℊと5g前後の差です。カロリーで比較するとむね肉:116㎉<もも肉:127㎉とエネルギー摂取が必要な年齢の選手には魅力です。
★目的別に考えると・・・★
①筋肥大を促す、筋肥大バルクアップ筋トレ向き:高タンパク質で適度なカロリーがある
バルクアップ:単に体重を増やすだけでなく、体脂肪を増やさずに筋肉を発達させて体を大きくしていくこと。
②減量・ダイエット筋トレ向き:高タンパク質で低カロリー
筋トレに向かない部位:高カロリー
の3つのパターンがあります。
★筋肥大バルクアップ筋トレ向き部位★
せせり:首の部分の肉でほどよいカロリーを含んでいます。
もも肉:やや筋肉合成カロリーは低めですが、高タンパク質でごはんなどの主食と一緒に食べるとバルクアップに理想的な栄養バランスになります。皮は除去したほうが脂肪がカットされます。
とりレバー:とりレバーも適度な脂質を含んでいてバルクアップ向きの部位です。また、ビタミン、ミネラルが多いことも筋肥大に有利です。
★減量ダイエット筋トレむき部位★
ささみ高タンパク質、低カロリーで、なおかつむねよりも柔らかく食べやすいのでダイエット筋トレでは最高レベルの食材です。
むね肉高タンパク質・低カロリーな上に、リーズナブルなのでダイエット時のメイン食材とも言えます。
砂ぎも:砂ぎももかなり高タンパク質・低カロリーでダイエット筋トレに最適な食材です。

★筋トレに向かない部位★
鶏皮:低タンパク質・超高カロリー(笑)好きな人も多いかもしれませんが、いいことはなしです。
ハツ:かなり脂質が多めで、鶏皮同様、あえて食べる必要がない部位です。
★結論は…おいしく食べればいい(笑)★
結局「とり肉はむね肉もも肉、どちらを食べたほうがいいのか???」
100ℊあたりでのタンパク質量の差は、むね肉:23ℊ>もも肉:19ℊと5g前後の差です。いつもお話するように、タンパク質5ℊは魚肉ソーセージ1本or納豆1パック程度の差です。タンパク質がもも肉のほうが少ないですが、カロリーで比較するとむね肉:116㎉<もも肉:127㎉とエネルギー摂取が必要な年齢の選手には魅力です。
結論は、どちらでもやや効果は違うかもしれないが、栄養的にはもも肉むね肉も高タンパク質で積極的に摂取したい食材であるということです。
無理に、パサパサで苦手なむね肉をたべるよりも、食べやすいもも肉に納豆や魚肉ソーセージを追加すればいいのです。大切なのは、選手が喜んで、おいしく食べること!だと思います。
★パサパサ防止には調理前のひと手間★
パサパサ防止には、下処理にお酒につけたり、話題の麹につけたりすると繊維が軟らかくなります。また、調理前にフォークで穴をあけると繊維が断ち切られ柔らかく味もしみこみやすくなります。ちなみに、この作業はブスブスやるので私はかなり好きです(笑)
また、カットするときも繊維と垂直に繊維を切るようにカットするとパサパサ感は改善されます。
★なんでも調理できる、なんにでも合う★
とり肉は味が淡泊なので、どのような調理をしてもおいしく食べることができます。
唐揚げや親子丼は選手が好きなメニューですよね。
★ベースは同じ、+αがちがってくるだけ★

チャーハンで考えてみましょう。バルクアップをする場合はもも肉を使用しエネルギーとタンパク質をしっかりと摂ります。成長期の選手にはこちらをおすすめします。中には、体重が気になる選手もいると思います。そんな時はダイエット筋トレメニューに、ごはんの代わりに枝豆などで加算しを行い、タンパク質の増量を行います。

同じ考えで、チキン南蛮で考えると、、、
バルクアップをする場合はタルタルソースで卵のタンパク質を追加し、Wタンパク質摂取が可能です。この時に、衣をパン粉の代わりにお麩を砕いたものにチェンジすると、アミノ酸も摂ることができます。
ダイエット筋トレメニューにするときは揚げずにフライパンで焼き、甘酢の野菜たっぶりのあんかけにするとカロリーは大幅にカットでき高タンパク質を摂取できます。

また、もも肉・むね肉ともに、いつものきんぴらや煮物、炒め物にも淡泊なので味を邪魔することなく追加が可能です。また、とりミンチもいつもの牛ひき肉のハンバーグに追加したり、とりそぼろ丼にしたりと幅広く使えます。
★いまは、成長期の選手たちです★
筋肉をつけてほしい、体重を増やしバッティングの飛距離を伸ばしたい、体を大きくしたい…、逆に体重を絞ってシャープな動きをしたい、など…..各選手や親ともそれぞれに悩みはあると思います。その中で忘れてはいけないのは、選手は体を作る大切な成長期にあることです。いまは、しっかりとバランスの良い食事をきちんとおいしく、楽しく食べて必要な栄養素をきちんと摂ることです。
きちんと楽しく、おいしく食べて、ベストなコンディションで野球ができることを願っています。
「こんなことが知りたい」「どうしたらいいの?」など疑問や質問はいつでも受け付けOKです。
また、体のこんなことが気になる、トレーニング方法やメンテナンスに関しても、医師や理学療法士、整復師などと相談ができるので、栄養面に関わらずなんでも疑問や不安は声を掛けてください。選手がベストに野球ができるように一緒に考えていきましょう。

猪谷 栄 アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校2年生と中学2年生の野球息子のママです。 まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。 栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。