3月 29

野球飯7(監修:猪谷栄様)

グラウンドの雪も解けて、心待ちにしていた外での練習が開始になりましたね。昨年はコロナウイルス感染で練習や試合も思うようにできませんでした。その分、自主 トレーニングや筋力トレーニングに励んできた成果を今年こそ、BESTな状態で発揮しましょう。
先日、野球少年ママから「練習や試合の時に、どのタイミングで何を食べると効果的にパワーを発揮できるのですか?」という質問をいただきました。
今回は、練習や試合前後の栄養摂取について考えてみましょう。

前年度の食事トレーニング講習でもお伝えしたことをおさらいしてみましょう。


試合や練習の日の朝、朝ごはんはみなさん、何をたべますか?
前回の食トレで選手のみなさんは「ごはん」という意見が一番多かったですね。気合いを入れて「からあげ」、ミートするように「ミートボール」といった選手もいました。

★「空腹」は最大の敵・朝は何かを食べる!!★
「朝はなかなか食べられない」「時間がない」など、朝が苦手な選手には朝ごはんの時間の確保も大変かもしれません。
大切なのは、空腹で練習や試合の朝を迎えないということです。空腹時は、体を動かすエネルギーは筋肉を分解して生産されます。せっかくの筋肉を分解してエネルギーに変えていては本末転倒になってしまいます。
★糖質・タンパク質・ビタミンを意識★
朝はまずは、なにはともあれ「必ず何かを食べる!」ということにつきます。そこに少しレベルを上げて「糖質」「タンパク質」「ビタミン」のバランスを追加します。
これは、いつもお話している「練習後の捕食」と同じ栄養素です。
・おにぎりで糖質、野菜や豆腐を入れた味噌汁でタンパク質とビタミン
・ハムやチーズ、野菜を入れたサンドイッチで糖質とタンパク質、ビタミンとオレンジジュースでビタミン                            など、朝ごはんでも簡単に練習や試合前の栄養食の摂取ができます。
★練習や試合の3~4時間前までに、しっかりと★
そして、気合いを入れて満腹まで食べる必要はありません。練習や試合の3~4時間前までは消化吸収の時間があるので、満腹に摂取しても問題はありません。それ以降になると、練習や試合の時に消化吸収に血流がとられるため、効率のよいパフォーマンスが得られなくなります。

練習や試合の1~2時間前まではバナナやカステラなど消化のよい糖質を摂取します。
それ以降はゼリー飲料やスポーツドリンク、など水分中心の補給になります。

★落とし穴に注意!!★
そして注意が必要なのは「インスリンショック」です。
人間の体は、食べ物を摂取すると糖分が急激に血液に吸収され血糖値が上昇します。膵臓からインスリンという血糖を下げるホルモンが分泌され血糖値を下げよとします。
練習や試合の直前に糖分を多量に摂取すると、このインスリンが作用し血糖を下げようとする働きと、運動での血糖を消費する二つの糖分を下げる働きが重なってしまいます。そうなると、逆に低血糖症状になり、倦怠感や持久力の低下が起こってきます。
もし、症状が出た場合は吸収の早いゼリー飲料やジュースなどで糖分の補給が必要になります。
そして練習や試合の間も空腹にならないように気をつけることが大切です。空腹感を感じた時点ですでに筋肉からエネルギー補給が始まっていると考えらます。

★お弁当も大切★
お昼ごはんのお弁当も大切な栄養補給になります。
1日練習や、1日に何試合もある日はエネルギー消費が大きくなり、失った分のエネルギー補給がお弁当で必要になります。
内容は、主食+主菜2:副菜1(ビタミン系:野菜):副菜1(ミネラル・タンパク質系)で考えます。エネルギー不足にならないように、おかずに焼きそばやお好み焼き、スパゲッティなどの炭水化物で糖質を補う「W炭水化物弁当」をお勧めします。
練習や試合中は汗を多量にかきます。そうなると、体から塩分や水分と一緒にミネラル成分も失われてしまいます。
味付けは気持ち濃いめにし塩分を補給、ヒジキやわかめなどでミネラルも補給できるといいですね。
また、野球飯1でも紹介したようにスポーツ飲料も「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」をうまく使い分けて飲用するとより効果的に吸収されます。
野球飯2.3では睡眠や生活リズム、ストレッチの大切さをお話ししています。生活リズムを日ごろから整えておくことが、最高のパフォーマンスの発揮につながると思います。
無理をせずに、楽しくおいしく、効果的に栄養摂取を行い、最高のパフォーマンスを発揮できるよう、日々の生活から心がけていきましょう。

猪谷 栄 アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校1年生と中学1年生の野球息子のママです。 まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。 栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。