1月 19

野球飯5(監修:猪谷栄様)

 ~どうしてタンパク質なの??~

今回は、本当に栄養のお話です(笑)
「筋肉を作るために、タンパク質を取ろう!」「運動後にタンパク質を取ろう!!」
指導者さんや、栄養に関するスタッフからよく聞かれるフレーズです。
みなさんは、漠然と「運動で筋肉が壊れるから、タンパク質を食べて補おう」「もっと筋肉をつけたいから、タンパク質を食べる必要があるからタンパク質は必要だ」と思い、一生懸命摂取していると思います。
では、口から食べたタンパク質は本当に筋肉になっていくのでしょうか???
今回は、タンパク質がなぜ必要か、本当に筋肉になるのかを検証しようと思います。
★体を構成する成分★
人の体を構成する成分は大きく分けると、糖質・脂質・タンパク質・水分から構成されます。
その中で、タンパク質は20%ほどを占め筋肉や皮膚、髪の毛や爪、骨や内臓だけではなく、血液やホルモンもタンパク質からできています。★タンパク質を構成するのは、2種類のアミノ酸★
タンパク質は全部でたった20種類のアミノ酸が連なってできています。
そして、アミノ酸の中でも、体内で作ることのできないアミノ酸=必須アミノ酸と、体内で作ることのできるアミノ酸=非必須アミノ酸の2種類に分けることができます。

みなさんが口から食べた肉や魚などのタンパク質は、そのまま体内に吸収されることはなく、消化酵素の働きで3~4時間かけてペプチドを経てアミノ酸に分解されます。そのあとは小腸で吸収されます。
アミノ酸になると、これ以上は分解できないほどの成分なので30分ほどで吸収されてしまいます。
★アミノ酸は毎日入れ替わっている★
そして、体は毎日、古い組織を新しいものに作り替えています。
髪の毛や皮膚、爪などは毎日少しずつ伸びたり、古い皮膚が垢となって新しい皮膚に入れ替わっていますよね。
だから、普通に生活していても、タンパク質はしっかりと取る必要性があります。

普通に過ごすだけでも消費されるタンパク質。「筋肉をつけたい」「運動後の筋肉回復」には、ふつう+αのタンパク質摂取が必要になります。
タンパク質の1日摂取量は「体重とほぼ同じ量」と言われています。
運動を行うスポーツ選手は、体重の1.2~2.0倍のタンパク質量が必要になります。
例えば、60㎏の選手ならば、72~120gのタンパク質の摂取が毎日必要になります。
★・・・ってことは・・・★
ここまで、体を作っている組織でタンパク質の摂取が必要→スポーツ選手は体重の2倍のタンパク質摂取を奨励→タンパク質よりもアミノ酸摂取の体内吸収が早いのか・・・??
となりますよね。

そうなんです(笑)要は、アミノ酸を摂取するタンパク質よりも分子量が少ないので早く吸収されます。その中でも最近、注目されているのが、BCAAです。
★分岐鎖アミノ酸(BCAA)★
分岐鎖アミノ酸(BCAA)呼ばれるバリン、ロイシン、イソロイシンがスポーツ時に重要な栄養素として知られているよ。食べ物では、まぐろ、かつお、鶏肉、牛肉、卵、牛乳などに多く含まれています。
BCAAは筋肉に含まれる必須アミノ酸の約4割。エネルギー源としても利用されるし、筋肉に含筋肉に含まれるタンパク質を作ることを促します。スポーツ活動後の筋肉のダメージを抑え、筋疲労や筋肉痛を軽減してくれる作用もあります。

このデータは、BCAAを摂取している人と摂取していない人の運動時間と筋肉分解量を比較したものです。
運動時間が30分を超えてくるとBCAAを摂取している方が、筋肉の分解量が少なくてすみます=運動を行っても筋肉からタンパク質を壊してエネルギーを作っていない=筋肉量は減りが少ない!!!という結果を示しています。
★普段はタンパク質を、運動日はアミノ酸を補給★
選手のみなさんは、成長期で体を作る大切な時期です。
そのため、5大栄養素(糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・無機質)をバランスよく摂取する必要があります。
毎日の食事からは、肉や魚、大豆製品や牛乳などからタンパク質摂取をすることで、タンパク質は十分に摂取することができます。
必須アミノ酸は体内にとどめておくことができないため、運動など筋肉の疲労や破壊時に効果的に摂取することで筋肉からのエネルギー転換を抑えることができます。そのため、毎日の意識したタンパク質摂取は不可欠です。
「普段は、タンパク質をしっかりと取る・運動日はゼリー飲料などでアミノ酸でサポート」とという摂取が成長期の選手にはお勧めします。

★タンパク質を多く含む食品★
ここからは、いつもの野球飯でお伝えしている、おなじみの食事からのタンパク質の取り方です。
タンパク質は、肉・魚・大豆製品・乳製品に多く含まれます。

毎食40gのタンパク質×3食=120gのタンパク質を摂取することができます。

主菜や味噌汁などでタンパク質を取りこみ、不足分は納豆や魚肉ソーセージ、卵やツナ缶などお手軽でそのままでも摂取できるもの追加して摂取量を増やすことができます。
いつもの炒め物やサラダに手軽に追加もでき、選手にも食べやすい食品だと思います。
毎日の食事だから、手軽に簡単に追加しおいしく摂取できると幸せホルモンで体も大きくなります。
前回のストレッチや睡眠などと合わせて、チャレンジしてみてください。

猪谷 栄 アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校1年生と中学1年生の野球息子のママです。 まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。 栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。