12月 15

野球飯4(監修:猪谷栄様)


~オフシーズンだからこその体作り~

「オフシーズンは、来シーズンに向けて体を作る」よく言われるフレーズです。
怪我をせずに、最高のパフォーマンスを行うために、オフシーズンには何をしたらいいのでしょう?
今回は、理学療法士さんにもアドバイスをもらってオフシーズンてできる、怪我をしにくい・最高のパフォーマンスを発揮できるような、ストレッチの大切さを中心に体作りについて考えます。
★スポーツ傷害・スポーツ障害・スポーツ外傷★

スポーツによっておこる怪我のことを「スポーツ障害」と言います。
スポーツ障害をさらに分類すると、「スポーツ障害」「スポーツ外傷」があります。
★「スポーツ障害」★
繰り返しの微少外力で生じる怪我を「スポーツ障害」と言います。投球障害肩・投球障害肘・分離症・シンスプリント・TFCC損傷が「スポーツ障害」に入ります。皆さんが心配し、前回もお伝えした、「野球肘」も明らかな外傷の既往がなくても、繰り返しの投球動作で起こるたことから「スポーツ障害」に入ります。
★「スポーツ外傷」★
一度の大きな外力によっておこる怪我を「スポーツ外傷」と言います。デッドボールやイレギュラーでの骨折・打撲や、スライディングでの捻挫・脱臼など、1回の力でおこる怪我のことをさします。
★野球の動作で考えると・・・★

野球の各動作での障害と外傷の発生リスクです。
ピッチング:繰り返しの投球動作で軟骨や腱が損傷するので障害が多いですが、ピッチャー返しなどで外傷のリスクもあります。
バッティング:素振りの繰り返し動作や過度の負荷を変えての繰り返しの素振りでは障害がおきます。また、打者でのデッドボールでの外傷もあります。
スライディング・守備:スライディングや捕球の際に捻挫や骨折、脱臼のリスクのほうが大きくなります。
ランニング:ランニングも過度になると膝や股関節に負荷がかかり、障害が起こることもあります。
★スポーツ傷害の外的要因と内的要因★
ここまでは「障害」「外傷」で考えてみました。もう一つの見方が、「外的要因」「内的要因」です。
★スポーツ傷害の外的要因★
「外的要因」には、投げすぎやバットの振りすぎ、走り込みすぎなどの「運動過多」、どこか一定の場所に力がかかりすぎる「不良なフォーム」があります。
★スポーツ傷害の内的要因★
「内定要因」には、柔軟性の低下、筋肉の未発達、筋力低下があります。
★「内的要因」はストレッチで回避できる★
ここまで「スポーツ傷害」と「要因」についてが理解できましたね。怪我を回避するためには、体の柔軟性を高めることが一番になります。
★投球動作を1つとっても・・・★




このように、投球動作では股関節・腸腰関節・肩関節・肘関節などたくさんの関節や大腿部・腰回り・肩まわり・肘回りの筋肉の柔軟性が必要になります。
下半身・体幹・上半身の柔軟性や筋力が十分にあれば、各動作がスムーズに連動し、ベストのパフォーマンスを発揮できます。でも、下半身や上半身の柔軟性や筋力が低下するとその分パフォーマンスが下がり、下がった分を上半身の腕や肩で代償「代償動作」しようとします。そのため、肩や肘に負荷がかかり、繰り返し行われることで「障害」が起こります。それが、野球肘野球肩の原因です。
★やっぱり結論、柔軟性と筋力UP★
これまでのことをふまえると、最高のパフォーマンスを行うには、やっぱり、体の柔軟性と筋力UPが必須条件になります。
前回のストレッチ動画では、この各関節・筋肉のストレッチをまんべんなく網羅されたものです。そして、今回はさらにストレッチの効果を上げるために、「ストレッチ4つの原則」を紹介します。
★ストレッチ4つ原則★
①時間・回数・頻度:20~60秒×3~5セット  継続した実施
毎日、1セットでもいいのでお風呂上りや寝る前に実施しましょう。毎日やるからこその柔軟性が向上します。また、2回前の「急速疲労回復」の時にもお伝えした、リラックス状態を作ることになるので、睡眠パフォーマンスも向上します。
②タイミングと順序 運動前と運動後
運動前のストレッチは体や筋肉の温度を上げ筋肉を緩ませます。また、運動後のストレッチは、痛みや異常筋緊張を緩ませ、疲労回復につながります。
③呼吸と痛み 深呼吸で心地よい痛み程度に
呼吸を止めずに伸ばす時に吐きましょう。大きく呼吸することで酸素を取り込み筋肉に酸素を運ぶことができます。また、心地よい痛み以上の動作を行うとかえって筋損傷につながるのでやりすぎには注意が必要です。
④意識 正しい姿勢・固定 伸長感を意識する
同じ動作を行っていても、「伸びている」「効いている」という意識がないと効果が薄れます。また、自分流では正しい効果はなかなか得られません。しっかりと場所を意識して、正しい方法で実施することが大切です。

★運動後は20分以内が勝負!!★
そして、負荷をかけた筋肉の修復にはエネルギー補給を20分以内に行うと効果的に吸収され、エネルギー不足を筋肉破壊から補うことを防ぐことができます。
これは、いつもの、食事トレーニングでお伝えしているおおなじみの内容と同じです。
運動後、20分以内に炭水化物・タンパク質・各栄養素の吸収を促進するビタミンCの摂取を行います。
摂取食品の組み合わせは・・・
おにぎりならば、具材はタンパク質の鮭やツナマヨがお勧めです。
サンドイッチも、ハムやチーズ、卵でタンパク質を補いレタスなどでビタミンの補給が可能です。加えて、オレンジジュースなどビタミンの多い飲み物と組み合わせるとい無理なく食べることができますね。
練習はつらいですが、終わった後においしい捕食があれば、頑張る気力もでますね(笑)楽しく食べることで、幸せホルモンも分泌され、筋肉も大きくなります。
コロナ感染もあり、自宅での時間が増えると思います。また、筋トレとストレッチ、食トレを冬季に実践し、来シーズンは全力で野球できることを願って・・・

今年度から取り組み始めた、今回で4回目の野球飯。「ストレッチ見たよ」「また、いろいろ教えてください」「次も楽しみにしています」などうれしい声をありがとうございます。
少しでも野球少年とそれを支える家族の皆さんのお力になりと思っています。また、「こんなテーマが知りたい!」「食事についてどうしたらいいのかしら?」など質問・ご意見をお待ちしています。

猪谷 栄 アスリート栄養学インストラクター・看護師
高校1年生と中学1年生の野球息子のママです。 まったく、興味のなかった野球でしたが、息子の応援から始まり「栄養や生活習慣で野球息子をサポートしたい!」という思いが高じて資格を取りました。 栄養や日々の生活での気になることを一緒に考えていきましょう。